第162章

御影邸。

酒井初音はパソコンの前に座り、指先を矢のように走らせていた。キーボードを叩く速度が速すぎて、残像が見えるほどだ。

風呂上がりの御影怜司がバスローブ姿で少女の背後に立ち、その手元を眺める視線には素直な感心が滲んでいる。

「つばめ市場がYN薬粧の旗艦店を下ろしたって聞いた。……新しいサイトを作って、久世直哉と真正面からやり合うつもりか?」

怜司は業界の人間だ。一目で、初音が自分の手で新しい通販プラットフォームを組んでいると見抜いた。

通販サイト自体は、作るだけなら難しくない。厄介なのは立ち上げ初期の集客と、膨大なアクセスを受け止め続けるための運用と保守だ。

サービス開始直後...

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